※ 「今月の衛星画像」 2019年のテーマは Google Earth Engine で変化を追う です ※
 Vol.21
−05    2019年05月号

ウルミア湖は本当に復活するのか・・」

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS
衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSAT
の場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。またLANDAT8画像については産総研のサイトも利用しています。
SPOT
の場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学やUSGSのアーカイブデータを使用することもあります。
2019年はGoogle EarthEngineを使用します

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 2019年のテーマは、「Google Earth Engineで変化を追う」です。


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 赤丸は画像の位置を示す  
 ウルミア湖は、イランにある塩水湖でかつては中東で最大の面積を持つ湖といわれた(他の文献では2番目)。かつては、世界で6番目に広い塩水湖といわれ、表面積は約5,200 km 2 、長さは140 km、幅55 km、最大水深は16 mであったという。しかし、2000年代に入り湖面は徐々に縮小を続けほぼ枯渇する事態になった(画像2および動画)。周辺地域の農業や経済も衰退し、国連開発計画によると、流入する河川のせき止めや流域での地下水のくみ上げなど、イランの水不足と有害な農業政策のため、1997年以来、湖の3分の2が干上がったという。次に示すCNNの記述によれば、以前の10%の広さしかない状況に陥ったという(CNN:https://www.cnn.co.jp/photo/l/615790.html)。Google Earth Engine の動画でみても、特に2010年以降に湖面が急元気に縮小していく様子が分かる。2016年から、国連食糧農業機関(FAO)とウルミア湖再生プログラム(ULRP)が、「ウルミア湖流域の持続可能な水資源管理のための統合プログラム」とする対策を始めたことが伝えられた(https://en.wikipedia.org/wiki/Lake_Urmia)。
 ところが、この湖が最近になって復活しつつあるという(https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/8/28990.html)。この記載によれば、「2019年になって、大雨による洪水や雪解け水のおかげで奇跡的な復活を遂げた」というのだ。この報道の出どころとなったと思われるNASAのサイト(file:///J:/00MO_HP/H2/00HP05/EarthWacht/May2019/Reviving%20the%20Shriveled%20Lake%20Urmia.htm)によれば、「ウルミア湖は、「1970年代に入って、30年近く続いた干ばつと、流域における高い水需要影響で、80パーセント縮小した。ところが、2018年秋から2019年春にかけての激しい雨で、新鮮な水の流れが生まれたことと、2019年3月下旬から4月上旬にかけての、流域における雨と山岳地帯での積雪が溶けたことによる出水が要因で湖面が復活した」いう。 画像1は、2014年5月2日のSENTINEL衛星による画像である。復活した湖は、このままの状態を維持することができるのだろうか。

 
   
         地図1 OSMによるウルミア湖と周辺地域             画像1 2019年5月2日のSENTINEL2衛星による、復活したウルミア湖と周辺の画像  
   
 画像2 Google Earth Engine でみた2018年のウルミア湖。南部は干上がったように見える。東端の水域はカスピ海.  
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